退職代行サービスの利用にあたって心配なのが「損害賠償・懲戒解雇の可能性はないの?」といったことではないでしょうか。
実際、インターネット検索枠に「退職代行」と入力すれば、「退職代行 損害賠償」「退職代行 懲戒解雇」などのワードが候補に並ぶこともあり、多くの方がリスクを恐れていることが分かります。
確かに、退職代行サービスで簡単に会社を辞められたとしても、裁判で訴えられるようなことがあっては面倒ですし、退職後の転職活動にも影響が出てくるでしょう。
そこで今回は退職代行サービスの利用で損害賠償や懲戒解雇があるのかどうかを詳しく紹介していきます。
今日はもうダメかも…
仕事に行きたくない…。行かなきゃいけないのは分かっていても「心」と「身体」がついていかない…。そんな時は会社に嘘をついてでも休みをとるべきだと思います。
上司や周りの人間はあなたの休みを快く思わないかもしれませんが、あなたの状態はあなた自身が一番わかっているはずです。精神を削られ過ぎて立ち直れなくなる前に対処しましょう。
もうどうしても会社に行くのが嫌なら退職を検討するべきでしょう。もしも自分の口から言えないのであれば「退職代行サービス」を利用してください。あなたの強い味方になってくれるでしょう。
目次
退職代行で損害賠償の恐れは?
不法行為によって損害を受けた人が、その原因を作った人に埋め合わせをさせること。退職代行の場合は、急な退職で不利益を負った企業側が、退職者へと損害分のお金を要求することを指します。
さて、まずは退職代行サービスの利用で損害賠償があるのか確認していきましょう。
退職代行で損害賠償はありえる?
まず確認しておきたいのが、社員の退職によって企業側が不利益を負い損害賠償を請求するケースもあるということ。たとえば、調べてみると以下のような事例が見つかりました。
ある社員が病気を理由に欠勤し、入社1ヶ月で退職。会社は月60万円、契約期間2年のインテリアデザイン契約を顧客と結んでいましたが、社員の欠勤によって契約は解約。少なくとも1000万円の逸失利益を失いました。
その後、欠勤した社員が200万円を支払う合意をしたようですが、支払いはなく、損害賠償を請求。結果、200万円のうち70万円の支払いが社員に命じられました。
やや特殊な例ではありますが、上記のように不利益を被った企業が退職者に対して損害賠償を請求するケースも無くはありません。
ただ、上記はかなりのレアケースで、社員に対して損害賠償を命じられた初めての裁判例とも言われており、実際に損害賠償が請求されるケースは極めて少ないようです。
なお、200万円の損害賠償請求に対して70万円の支払いしか命じられていないのは、会社側の管理責任等の問題もあったようです。退職によって不利益が出たとしても、その原因が完全に退職者のせいになることは少ないと考えられます。
訴えられる可能性は低い
上記で紹介したように、退職者に損害賠償が請求されるケースは存在します。
ただ、上記のようなケースは極々一部のもので、今のところ退職代行サービスの利用によって損害賠償を請求されたと言った事例は見かけたことがありません(上記の事例は平成4年のもので、おそらく退職代行とは無関係)。
というのも、損害賠償を支払わせるための裁判を起こすには膨大な労力と費用がかかります。それでいて、上記の事例でも分かるように損害賠償をすべて請求できるか分かりません。そもそも退職者1人に対して、そこまで大きな金額を請求できるとは思えません。
超大規模のプロジェクトを一人で進行している場合などは別かもしれませんが、一般的な従業員が1人辞めたところで損害賠償の可能性は滅多にないでしょう。
企業側だって暇ではありませんからね。いちいち損害賠償のために人を割いたり、予算をかける余裕は無いと思います。
それに、弁護士への依頼や損害を立証する証拠の用意などのハードルを越えて勝訴したとしても、退職者が判決に従わなければ、退職者の財産を探して差し押さえをする必要も出てくると言われているのです。
要は、損害賠償と言うのはとにかく面倒なんです。「退職代行サービスの利用にイラッとしたから」なんて些細な理由で気軽に起こせるものでもありません。
とおるくん
ゆかりちゃん
退職代行を通じての引継ぎも可能
損害賠償の危険性はほぼ無いものの、少しでも可能性があるのは心配ですよね。
そこで、退職代行サービスを利用する時は最低限の引継ぎをしておくことをおすすめします。損害賠償の請求は、急な退職(引継ぎ不足)によって会社が不利益を負った時に行うことが多いですからね。
引継ぎをしておけば企業側だって退職者に腹を立てることは少ないでしょう。ただ、退職代行サービスを利用するまで追いつめられた人だと1ヶ月、2ヶ月もかけて仕事の引継ぎをするのは辛いですよね。
そんな時は、退職代行サービスの担当者に相談してみてください。本当に重要なデータの扱いやパスワードなど、最低限の引継ぎであれば退職代行サービスが代わりに伝えてくれることもありますよ。
とおるくん
ゆかりちゃん
とおるくん
退職代行で懲戒解雇の恐れは?
事業主が労働者に課すことができる罰のひとつ。長期無断欠勤、飲酒運転などの重大な事故や交通違反、会社の金品横領、犯罪行為などによる逮捕・起訴などを理由とした解雇が懲戒解雇にあたります。
次に退職代行サービスの利用による懲戒解雇の恐れについてみていきましょう。
退職代行で懲戒解雇はありえる?
損害賠償と同じく聞いたことはありませんが、可能性で言えば退職代行サービスの利用による懲戒解雇もありえなくはないでしょう。
とはいえ、退職代行サービスの利用により・・・つまりは十分な引継ぎなしにより懲戒解雇というのは考えにくいです。
可能性は極めて低い
先ほども簡単に紹介しましたが、懲戒解雇とは長期間の無断欠勤や飲酒運転による事故など、退職者に大きな否があった時に下せる処分であり、引継ぎなしの退職に対して、というのはやや重すぎます。
既に何週間も無断欠勤したのち、退職代行サービスに退職を伝えてもらうなど、特殊なケースであれば別ですが、普通に退職代行サービスを利用する分には問題ないはずです。
そもそも、「退職の2週間前までに退職の意思を伝えておけば辞めてOK」と民法で決まっていますからね。そこに退職代行サービスの介入があっても問題は無く、民法で決められたとおりに退職するだけです。
もしかすると怒りにまかせて懲戒解雇を命じる企業も存在するかもしれませんが、そのような主張は一般的に認められず「無効」となるでしょう。
とおるくん
ゆかりちゃん
退職代行で嫌がらせを受けることは?
「退職代行サービスの利用によって会社から嫌がらせを受けるのでは?」といった不安を抱く方も多いようですね。ここからは嫌がらせの可能性について考えていきましょう。
退職代行で嫌がらせもありえる
退職代行サービスを利用した社員に対して企業側が以下のような嫌がらせを行うことはありえます。
- 私物を返却してくれない
- 必要な書類を送ってくれない
- 手続きの催促をしても無視される
- 電話やメールで嫌味を言ってくる
- 転職先に悪い噂を流される
実にバカバカしい話ではありますが、本当に上記のような嫌がらせを行ってくる企業はあるようです。
嫌がらせなどしても企業側はメリット0なんですけどね。どうにも怒まかせに動く残念な大人は少なくないとか。
とはいえ、そんな常識もわきまえない人が上司をやっている企業はそこまで多くない・・・はずです。損害賠償や懲戒解雇に比べると可能性は高くなるものの、嫌がらせの可能性も低いと思っていいでしょう。
なお、初めから上司が大人子どもだと分かっているなら、必要な私物は先に持ち帰っておくなど事前対策するのがおすすめです。
酷い時はハローワークなどに相談
会社が必要な書類を送ってくれないなど、嫌がらせを受け続けるならハローワークや労働基準監督署などに相談してみましょう。
そもそも、退職後に必要な書類を送るのは企業側の義務であって、問い合わせても送ってくれないようなら完全に違法行為です。
そのため、普通であれば電話やメールを1本入れれば送ってくれるはずです。
いきなりハローワーク等への相談はハードルが高いと思えば、まずは企業に問い合わせ、ダメそうならハローワーク等へ話を持ち掛けると言った順番にするといいでしょう。
とおるくん
ゆかりちゃん
とおるくん
ゆかりちゃん
損害賠償などが心配なら優良退職代行サービスを選ぼう!
さて、ここまでで退職代行サービスに利用による損害賠償や懲戒解雇の恐れはほぼ無いと分かっていただけたでしょう。
ただ、悪質な退職代行サービスを利用してしまうと、思わぬトラブルに巻き込まれるかもしれません。
最も考えやすいのは退職代行サービスが非弁行為に触れ、弁護士法を違反してしまうことでしょうか。
弁護士ではない人が、報酬を目的に代理人として交渉する行為。これは弁護士法に違反します。
退職代行サービスは弁護士とは別ですから、弁護士のように交渉をしてしまえば弁護士法違反で思わぬトラブルに発展する恐れがあります。また、依頼者がそれに巻き込まれる可能性もゼロではありません。
そのため、退職代行サービスを利用する時は人気が高く、実績のある会社を選ぶようにしましょう。人気の会社は成功率が100%に近く、損害賠償や懲戒解雇について聞いてみると、事例はゼロといった回答が返ってくることがほとんどです。
また、どうしても心配であれば弁護士が運営している退職代行サービスや、司法書士(法律の専門家)が監修している退職代行サービスを選ぶのもいいですね。
こういった、法律に詳しい方がついているサービスであれば非弁行為に触れてしまうことはまずないでしょう。
とおるくん
ゆかりちゃん
とおるくん
ゆかりちゃん
退職代行による裁判は基本なし!
退職代行サービスの利用によって損害賠償を請求されたり、懲戒解雇になったり、裁判に巻き込まれるようなことは滅多に無いと考えて大丈夫です。
そもそも、損害賠償や懲戒解雇が頻繁に起こるようであれば、退職代行サービスがここまで普及していないでしょう。問題の多いサービスは得てして人知れず消えていくものです。
ただ、これから退職代行サービスがさらに主流になると、流れに乗っただけの、実績もノウハウもない悪質な会社が大量に出てくるかもしれません。
そういった会社に依頼してしまうと面倒なトラブルに巻き込まれる恐れもありますので、退職代行サービスを利用する時は、必ず人気や実績、口コミ評判やサービス内容などを確認するようにしてください。
ゆかりちゃん